海外のトレンドをリアルタイムで追うには? 各国で旬なSNSコンテンツとともにMeltwaterが解説

海外のトレンドをリアルタイムで追うには? 各国で旬なSNSコンテンツとともにMeltwaterが解説
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2024/05/09 11:00

 インバウンド消費が回復しつつある今、企業やブランドは海外消費者に刺さるコンテンツについて把握する必要性が高まっている。しかし、海外の最新トレンドをリアルタイムで追うことに苦労しているクリエイターは少なくない。Creators MIX 2024では、世界中のあらゆるSNSコンテンツのビッグデータを収集するMeltwaterより、Events Marketing Managerの樋口綾氏とEnterprise Account Executiveの吉田純一氏が登壇。海外のSNSコンテンツのトレンドと、トレンドをリアルタイムで追う方法について解説を行った。

V字回復のインバウンド 今とくに注目すべき国とは

 Meltwaterは世界最大規模のメディアおよびSNSデータを扱うグローバル企業で、世界120ヵ国に3万5,000以上の顧客をもつ。2001年にノルウェーで設立した後アメリカに本社を移し、2008年に日本法人を設立。毎日約10億件のデータを収集・処理しており、既存メディアからSNSまで幅広く集めたデータを分析し、ビジネスに役立つインサイトとして提供している。

 セッション冒頭で樋口氏は、インバウンドの回復状況をデータとともに振り返った。2023年のインバウンドはコロナからV字回復を遂げ、訪日外国人数は2,500万人以上と、コロナ禍前の8割まで回復。消費額は5兆円を超え、過去最高を記録している。Meltwater社のソーシャルリスニングツールを使用した調査によると、韓国のSNSで「日本」「観光」「旅行」と韓国語で発話された回数は、2022年では1日平均62回だったが、2023年には1日平均682回と10倍になった。

 国・地域別の訪日外国人数を見ると、2023年の1位は韓国、2位台湾、3位中国、4位香港、5位タイ。「とくに注目すべきは『タイ』です」と樋口氏は話す。2023年9月から急増しており、今注目すべき訪日国のひとつとなっている。

SNSは購入に影響を与えているのか 各SNSにおけるユーザー数国別調査を紹介

 続いて、Meltwater社が毎年行っている、世界のインターネットやSNSユーザーに関する大規模調査リポートをもとに、海外でのSNSの重要性と影響力についての解説が行われた。

 調査によると、世界でもっとも利用されているソーシャルメディアは1位Facebook、2位YouTube、3位WhatsApp、4位Instagram、5位TikTokとなる。各SNSのユーザー数の国別ランキングを見ると、Facebookはインドネシア、フィリピン、ベトナム、タイといった訪日客が多い国が10位以内にランクイン。YouTubeではインドネシア、日本、ベトナム、フィリピンが、Instagramではインドネシア、日本がランクインする。なおInstagramは韓国、タイでも人気が高い。TikTokはインドネシア、ベトナム、フィリピン、タイが10位以内、日本は2,070万人で14位となっている。さらに中国版のTikTokである抖音(Douyin)は中国のみで7億人以上が利用しており、大きな影響力を持つ。

 各SNSの1ヵ月あたりの利用時間は、1位がTikTokで34時間、2位がYouTubeで28時間。TikTokで1分間のショート動画を見ると仮定すると、1か月で2,040回、1日換算で68回の動画を閲覧していることになる。YouTubeで10分間の動画を見たと仮定すると、1ヵ月に268回、1日換算で6回の動画再生だ。

 ソーシャルメディアを使う理由のアンケート調査では、家族や友人などとの連絡、暇つぶしという回答がもっとも多いが、注目は26.7%が「買いたいもの・やりたいことのヒントを得るため」、26.1%が「買いたいものを探すため」と回答している点だ。「購入を検討しているブランドについてSNSでリサーチする」人の割合は、グローバル平均では73.9%。タイ、香港、台湾は平均に近く、ベトナム、インドネシア、フィリピン、中国は平均よりも高くなっている。

「つまり、ベトナム、インドネシア、フィリピン、中国の方々は、SNSで得られる情報をもとに購買の意思決定をしているということです。一方、グローバル平均を下回っている韓国、日本では、SNSは幅広く情報収集するために活用されているものの、購買の最終意思決定には別のソースから得られた情報を用いている可能性があることが示唆されます」(樋口氏)

Meltwater Japan株式会社 Events Marketing Manager 樋口 綾氏
Meltwater Japan株式会社 Events Marketing Manager 樋口 綾氏

 ソーシャルコマースの中でROIがもっとも高いと考えられているのはInstagramで、Facebook、YouTube、TikTok、Xと続く。ソーシャルコマースにおいて効果のあるコンテンツ形態について調査したアンケートでは、67%がショップページへのリンク付きの動画と回答した一方で、今人気のショート動画は32%であった。意外に低く感じられるが、ショート動画に効果がないわけではないと樋口氏は付け加える。

「ショート動画を用いた実績がまだ十分に溜まっていない状況ですが、今後ショート動画を通じて物を買う消費行動が広がれば、数字は上がってくると考えられます」